「天童旅行記」 第十一話 | 月下の調べ♪のステージ

「天童旅行記」 第十一話

第十一話「若松寺」


4月25日(月) 天童 曇


朝風呂を済ませて我々9人がチェックアウトしたのは9:00頃。特に申し合わせたわけではないのだが、ゴミをまとめようという雰囲気ができあがって、部屋を片付けてからのことだ。ゴミ袋やら酒ビンを出して、「お世話になりました~」二見館のフロントに挨拶して出発する。


最初の目的地は「若松寺(じゃくしょうじ)」 。3台のクルマに分乗して向かう。場所は天童市街から東にはずれた山の中だ。クルマで15分ほどかかり、途中からは脇に杉林の立ち並ぶ登りの山道で、やがて人が住んでいる気配もなくなる。気楽に歩いていける道のりではない。


到着すると、そこはもう人気のない静かな世界。鳥の鳴き声だけが響き渡っている。お寺の入り口に石碑が立っていて、刻まれている文句を読むと「めでためでたの若松さまよ」これって有名な花笠音頭じゃないですか!「若松様」ってここが本家だったんですか~、と皆さん感心しきり。「ここは縁結び観音が祀られているんですって」石碑の前にみんな並んでパシャリ。


石碑の向かいには売店があった。売り物を眺めていると、ほどなく店員のおじさんとおばさんが応対に出てくる。若松寺オリジナルの記念アクセサリーやら地元の銘菓やらが売ってあって、メンバーが買い求める。をいらが買ったのはまたも地元出版の読み物「バカな女のジグザグ人生」、70歳のおばあさんが書いたというエッセー集である。あたたかい文章が印象的だ。「字が大きくなってて読みやすくしてあるんやね」パブルさんが横から突っ込む。


買い物を終えて奥に進むと、おみくじと賽銭箱。おみくじが2種類あって、50円のは普通のおみくじ、もう一つは100円で「恋みくじ」。さすが縁結びドコロだなあと油断していると、なんとあろうことか、みんな恋みくじのほうをひきはじめた!既婚者とモテない人ばかりなのに・・・。をいらも恋みくじのほうを引いてみる。


パラパラと畳んである紙を開いてみると、やった中吉だ!これって大吉の次だよね?なんと書いてあるのかな?「悲しいことは忘れて、新しい出会いに期待しましょう」って?全然嬉しくないんですけど・・・。あ、ひょっとして吉の半分で、中吉なんですか?


さらに登って境内のほうへ。途中の道から見える眺めが、山の両脇の小道が前方にのびる景色ですばらしい。境内では、重要文化財の縁結び観音があるらしいが、賽銭箱のところからでもよく見えなかった。ドラみたいに大きな鈴を打ち鳴らし、「将棋が強くなりますように」。


さらに上のほうはもう山頂らしい。和歌を刻んである歌碑が、小林を囲むようになっている道沿いに30くらい立っている。地元の方が詠んだらしく、人生を振り返るようなものだろうか。


さて、戻りましょうかと駐車場のほうへ。クルマに乗り込むと、初老の方数人が意外な言葉で声をかけてきた。「あらあ東京からですか。懐かしいわあ」聞けば、十数年前は首都圏に住んでいらして、現在は山形に永住されているとのこと。「山形はいいところですよ~」ステキな老後をお過ごしのようだ。うらやましい限り。


さて、次はどこへ行きましょうか。見学できるのはあと一箇所くらいですかね。とりあえず市街地へ戻りましょう。