「社団戦レポート」(6) | 月下の調べ♪のステージ

「社団戦レポート」(6)

 タカシゲくんの応援にと、ギャラリーに加わる。あれっ?おかしい。まだ双方の陣形がしっかりしていて、まだまだこれからという感じだ。なるほど、府中さんたちはこの対局を真剣な眼差しで見ていたわけね。聞けば相手はタカシゲくんと同じ中学一年生。この辺り同士だと、指し手が早指しになりがちで対局も早くに決着するケースが多いのだが、大人たちの対局が終わってもまだまだ終わる気配のないというのは異常と言っても良いくらいだ。


 タカシゲくんは角の使い方がうまい。受けにくいラインを察知するのが早く、そこに角を配置する流れにもっていくことを一つの主眼にして対局を進めているようだ。この局も一進一退の応酬のあと、やがてタカシゲくんが得意の角打ちを見せた。相手玉を睨むラインで、しかも受けにくい。この角打ちを境に一気に相手陣が崩壊し、終局した。相当な手数続いたらしい。盤面を再現せずに枡目と指だけで中学生同士の感想戦がしばし行われた。


 月下さん、これ手数どうやって見るの?タカシゲくんが対局に使用した新型の対局時計「名人戦Ⅱ」の扱い方を聞いてくる。むむ!?をいらは確かにこの対局時計ユーザーなのだが、機能が細かすぎてよく把握していないのだ。あーやってこーやって・・・あーっ、ごめん電源落ちちゃった~メモリーも消えちゃった~あはは。ごめんなさい、今度は取扱説明書を持ってきておくね。それにしても、発売から1年ほどの新型の対局時計の普及がこんなに進んでいるなんて、東京アマチュア将棋連盟さんも設備投資に熱心だなと感心させられる。いまだにアナログの対局時計を使っている大会は多いものだ。


 タカシゲくんの対局を最後に全ての対局が終了。6勝1敗の大戦果、友遊クラブデビュー初日にして、初勝利である。三回戦までどうなることかと思わされたので、ほっとした気分だし、この後のお酒も楽しく呑めそう。そんなことを思いながら皆さんの顔をあらためて眺めると、疲れの色が濃い。


 タカシゲくんも明らかにスタミナ切れの様子。今日は本当にお疲れ様。声を掛けると、「相手の名前、聞いておいたよ」とこっそり打ち明けてくる。今度大会で当たりそうなときに有利になると思ったんだ~。をを!結構人見知りしてしまうところのあるタカシゲくんだけど、この機会は大事なところと捉えて、情報収集と交流と自発的に進めているんだね。そして今日の少年のことを、熱戦を通じてライバルと認めたらしい。一局指しただけで人間関係がそこにできるし、相手を見る目もできてくる。そしてタカシゲくんの頼もしい一面も垣間見たような気がする。将棋って楽しいなと思える場面だった。



 全対局が終わって、会場をあとにする。たまさん一家はここでお別れだ。遠いところありがとう、タカシゲくん今日はお疲れ様~、みんなのあたたかい声がかけられる。残った「オトナ」のメンバーは、とくもりさんを交えて浜松町の居酒屋へ。マグネット将棋盤と一品料理をはさんで、将棋談議に暮れた。


次の五回戦~八回戦は7月24日(日)。

本当に、楽しみだ。