HDウォークマンとの付き合い方 初級編 | 月下の調べ♪のステージ

HDウォークマンとの付き合い方 初級編

ポ-タブルハードディスクオーディオプレーヤーとして、i-podなるものが昨年発売され話題を呼んだが、約半年遅れてほぼ同じコンセプトで、ハードディスクウォークマン(以下HDウォークマン) が4月にSONYから発売されている。SONYのものはi-podの2番煎じ(言葉は悪いが)と言っても過言でないと思うが、キー主体の操作性、充分なバッテリー寿命、Windowsや日本人ユーザへの親和性等といったスペックへの配慮が功を奏してか大人気を博し、既に日本でのシェアは逆転しているという。

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(ここで採り上げているのは、NW-HD5という機種です) 


携帯電話をしばらく持たなかったというモバイル奥手のをいらだが、今年パソコンを新しく購入して以来ちょくちょく音楽CDをパソコンに取り込むという作業をやってきたをいらにとって狙ってきたシロモノ、ともあれこの後発であるHDウォークマンをついに先月購入するに至った。

曲収録の仕組みと手順は下記のようになる

①CDの各曲をパソコンに取り込む、(OpenMGという形式のオーディオファイルとなる)

②HDウォークマン付属の管理ソフトでライブラリ編集する。(グローバルデータベースからネット経由で自動的に曲名、アーティスト名、ジャンル等の情報を取り込んでくれるし、自分で入力することもできる。その情報をもとに、楽曲、アルバム毎の自己データベース、いわばライブラリができあがる。)

③HDウォークマン本体に、USB経由でライブラリのデータを転送する。


最初は試しにお気に入りのCDを何枚か入れて使ってみた。モバイルのプレイヤーとしては音質には問題がない。胸ポケットに調度入るサイズで手軽だし、当然のことだがCDを入れ替えずに簡単に選曲、選アルバムができるのが便利だとわかる。ハードディスク容量は20GBと膨大だ。それではととりあえず手元にある目に付いたCDを3枚、5枚と次々にインストール、こうなると止まらない。


部屋の整頓も兼ねてあちこちに散乱していたCDをかき集め、10日ほどかけてついに所持しているCD八十数枚をほとんど全て取り込んでみた。レンタルのものをコピーした、中身が外側から判らないCDもちゃんと編集できる。ケースと中身がてれこになっていたりした行方不明のCDも安否が判明し、大きな副産物である。


この一連の作業を通じて、をいらなりに感じた主なメリットを整理してみよう。

CDの管理ができる

取り込んだCDのデータベースがパソコンにできるわけで、簡単に検索し、聴くことができる。以前のように、突然無性に聴きたくなったアルバムを求めて押入れを掘って回ったり、レンタルCDのわからない曲名が気になって眠れなくなる、なんてことはなくなる。現在所持しているCDだけならたかが知れているが、これがレンタルCDを毎週ごっそり入れていくとなるとありがたみが判る機能だと言えるだろう。


・曲名を観ながら鑑賞できる。

パソコンではもちろんのこと、HDウォークマン本体の液晶ディスプレイにも、アーティスト名と曲名が表示される。これは他の媒体ではこれまでできないでいたことで、「この曲好きなんですよ。曲名知らないけど」ってことが結構あったように思うが、これからは少なくなるだろう。


・検索が簡単

なんと言ってもこの機能が、ハードディスクオーディオプレーヤーの真骨頂だろう。アーティスト名、ジャンル、アルバム、など多方面から「聴きたい曲」を検索できる。となると冒頭の曲だけを片っ端から少しだけ聴いて数あるアルバムの中から一枚を探す、なんてこともできるわけだ。

──どこにいても、今聴きたい曲に、今出会える──

検索が簡単なこと、つまり目的への到達が容易であることは、収録がたとえ多岐多数に渡っても、お気に入りの曲、アルバムがその密度を失わないことを意味している。

そうすると、コレクションに走るというのは自然なことだ。をいらは今後レンタルショップへ向かう頻度が上がるだろうし、中古CDを漁る機会も増えて、CDショップの新品でしか買えない逸品を見い出す目も肥えてくることだろう。

をいらのCD音楽ライフは、ここ数日で大きな幅を持つようになった。


とは言っても、イマイチ使いこなせていないところもある。デメリット、というべきではないかも知れないが、下記のようなことである。

・ジャンルが不統一

グローバルの公用データベースから取り込んだCD情報は結構いい加減だ。曲名の付け方が同じアルバムの1枚目と2枚目で違ったりするときすらある。特にひどいのはジャンルで、同じアーティストの同じ曲でも「ジャズ」と「Jazz」と「ジャズ(一般)」とか数種類の付け方があるくらいで、ジャンル分けは統一性がない。ジャンルはその曲の、個人が検索しやすくするためのパラメータであると考えると、ライブラリ上で再編集する必要があるし、個人個人がそれぞれそうしたほうが使いやすいというものだ。


・既にパソコンに取り込んでいたCDのデータがそのまま流用できない

以前はWAVE形式というフォーマットで音楽データをパソコンに記録していたのだが、これ自体は容易にOpenMG形式に変換できる。ただし、そのWAVE形式の音楽データは、グローバルデータベースから当初取り込んだ曲情報が曲名(つまりファイル名)以外は付随していないし、CDではないので新たに自動取得することもできない。ライブラリで全て手入力するのは大変なので、結局CDで再録音するハメになる。これはなんとかして欲しいものだ。


・アルバムの終りが判らない

アルバムが終わると、特にリピート設定していない場合はそこで再生が終わるのが普通「だった」。

HDウォークマン(パソコンでの管理ソフトもそうだが)では、1曲リピート、全曲リピート、シャッフルといった設定をしていない限り、アルバムが終わると、ライブラリナンバー順で言うところの次のアルバムへ移る。聴きたい聴きたくないに関わらず、である。例えば穏やかモーツアルトを聴いてうとうとしていると、突然イングヴェイが高音シャウトで襲ってきたりするわけだ(しかも録音レヴェルが不統一だから大音量だったりする)。これは結構不快なものではないだろうか。

アルバムが終わると、そこで「ご主人様」の指示を待っててもらいたい、というのがをいらの希望である。ひょっとしたらこの「下僕」への命令のしかたがマニュアルに載っているのかも知れない。


 プレイリスト、というものをライブラリで編集することができることがわかった。自分で聴きたい曲ばかりをかき集めて、ヒト括りにできるわけである。「何度聴いても飽きないお気に入り」プレイリストでもいいし、「買ってきたばかりでちょっと聴いてみたい」プレイリストでもいいし、「落ち込んだときにこっそり一人ぼっちで聴いて癒される」プレイリストでもいいわけだ。プレイリスト編集を駆使して、気分や環境に合わせた曲が流す、そんなHDウォークマンライフが送れるようになったら、初級編はもう卒業かな。


 「下僕」が「相棒」に昇格する日がきたら、中級編を書こうと思っている。